Columns女医監修 女性のお悩みコラム
腟がゆるむとどうなる?
セックスだけじゃない生活に影響する不調サイン
「腟のゆるみ」女性なら誰しもが気になる症状だと思います。
しかし、「腟のゆるみ」というキーワードは一般的にゆるんでいる状態とは異なる可能性もあると、女性泌尿器科医の二宮医師は指摘しています。
みなさんも、腟がゆるんでいるのかも?と思ったら自分がどのタイプにあたるのか一緒に考えてみましょう。
腟のゆるみを自覚する時って?
- お風呂上りに腟からお湯が出てくる
- 性交中の感度が低くなった気がする
- パートナーがイキにくくなった
- くしゃみなど、おなかに力を入れると尿漏れする
- 排尿を途中で止められない
これらに当てはまると腟がゆるんでいるのではないかと不安に感じてしまう人もいると思います。しかしこれらの症状全て腟のゆるみが原因ではないのです。
腟がゆるむと感じる原因
骨盤底筋の衰え
腟の構造を維持するための筋肉を「骨盤底筋(群)」と言います。骨盤底筋は、骨盤の下から子宮や膀胱、直腸を支えるハンモック状の筋肉群で、筋力やそれを維持する靭帯との関係性によって腟の構造が作られています。そのため、一般的には骨盤底筋が衰えたり負担を受けたりすることで腟の構造がゆるんでくると考えられています。
しかし、前述の腟のゆるみを自覚することの原因全てが、この骨盤底筋の衰えというわけではありません。
骨盤底筋の強い収縮
骨盤底筋が強く収縮しすぎている場合もあります。骨盤底筋が無意識のうちに強く緊張している場合、腟を構成している筋肉の動きが悪く、腟の空間がまるでぽっかり抜けたようになり、ゆるんでいると感じることがあります。
腟粘膜の衰え
筋肉自体には問題はないものの、腟粘膜が衰えている場合は、腟の内部を作っている粘膜がスカスカになっており、ゆるいと感じることがあります。
さらには、本人が腟のゆるみを感じていても、実際には筋肉にも粘膜にも全く問題ない場合もあります。
腟がゆるみやすい生活習慣や原因
運動不足
腕や腹筋と同じように、体を動かさないと徐々に腟の筋力が衰えます。特に骨盤内の血流は全身運動をしっかりすることで改善することが知られています。ですので、痩せていてもぽっちゃりしていても関係ありません。しっかりと定期的な運動を行いましょう。
姿勢
両膝・足首をくっつけた状態で座ることが困難ということはありませんか?背筋を伸ばし、膝をつける正しい姿勢がつらいと感じる人は、骨盤底筋の筋力が低下している証拠です。普段から同じ姿勢が続くとお尻や腟の筋力は衰えますし、猫背などの悪い姿勢はさらに負荷を与えます。
加齢
年をとることで女性ホルモンの分泌が低下します。女性ホルモンが低下すると、筋力が低下しやすくなり、さらに腟粘膜の潤いもなくなります。
出産
妊娠期間中、子宮内で赤ちゃんを支えたり、出産時に腟壁や筋肉が大きく引き伸ばされたりすることで骨盤底筋はダメージを受けます。出産後はしばらくするとある程度ゆるみは回復しますが、妊娠出産で受けた骨盤底筋のダメージは完全に回復することはありません。そのため妊娠出産を経験した女性の腟は少なからず筋肉や靭帯が伸び、ゆるみが発生します。また、出産直後は急激に女性ホルモンが分泌低下することで腟粘膜もスカスカになりやすいことが知られています。
便秘・頻尿
いきんで排便する機会が多くなると、腹圧がかかり骨盤底筋が引き伸ばされてしまいます。頻尿の人も同様で、毎回のトイレのたびにしっかり出し切ろうといきんでいると、骨盤底筋にダメージを与えてしまいます。
生理
月経中は出血を起こすために、腟や子宮が柔らかくなっており、普段よりもゆるみを自覚する人が多くいます。月経の終わりとともに改善しますので問題ありません。
腟のゆるみは加齢だけではなく、生活習慣なども関係するため、若年層にも起こる可能性は十分にあります!
腟のゆるみ、放っておくとどうなるの?
骨盤底筋の衰えが原因の腟のゆるみの場合
子宮が腟から出てくる「子宮脱」や、「腟(壁)下垂」になる可能性があります。
骨盤底筋が硬すぎることでの腟のゆるみの場合
実際はゆるんでいませんが、必要以上に緊張しているため、「頻尿」、「慢性骨盤痛」、「性交痛」などが生じる可能性もあります。
腟粘膜の衰えによるゆるみの場合
外からの刺激に対する防御が弱くなっているため、繰り返す「膀胱炎」、「腟炎」、「閉経関連性器尿路症候群(GSM)」になどが生じる可能性があります。
腟のゆるみ改善方法
効果的な腟トレーニングをする
腟圧アップには骨盤底筋のトレーニングが必須。姿勢の改善はもちろん、日常的に体を動かすことは大切です。「腟トレ」で腟圧をアップさせる方法もあるので取り組んでみましょう。排尿中に止めてみたり、肛門をぎゅっと締める動きをしたりする動きで筋力アップを。さらにその後筋肉をしっかり脱力させることでストレッチを行います。収縮と弛緩を意識するだけでも手軽なトレーニングになるので、意識して行ってみてはいかがでしょうか。筋力アップにはたんぱく質摂取も重要です。
女性医療クリニックに相談
トレーニングをしても改善されないということであれば、クリニックに相談しましょう。クリニックによっては腟のトラブルに関する治療や個別トレーニング・施術を行っているので、体質やお悩みに合わせて改善方法を選んでくれますよ。
腟を鍛えるメリット
筋肉が鍛えられることで血流や排泄機能が向上します。
- 性行為中の快感を得やすくなる
- 高齢期や産後の尿漏れ防止
- 生理痛の改善
- 冷え性の改善
教えて!起こりやすい勘違い
「セックスの回数が多いとゆるくなるの?」
普通の性交であれば、経験人数・回数に比例して腟がゆるくなることはありません。むしろ、オーガズムを経験した女性は腟の筋肉が強く収縮する経験があるので、自分の腟を意識的に動かすこともできるようになります。
「彼からゆるいと言われた!」
腟の締まりを重要視するのは、日本人だけ。「処女の腟は締まっている」、「腟はきつくしまっているほうが魅力的である」、などは男性都合の間違った性イメージです。体格・体調・濡れ具合、その他さまざまなことで腟の環境は変化します。ゆるい腟が良いということではありませんが、男性の理想のためだけに自分の健康的な腟を否定する必要もありません。
さらに万が一、腟がゆるいという理由でパートナーが射精できないのであれば、それは間違ったマスターベーションに原因があるかもしれません。強いグリップや床ずりでのマスターベーションは正常の腟圧でゆるいと感じることが多く、腟内射精障害というれっきとした病気を引き起こします。泌尿器科の受診を勧めてあげましょう。
- まとめ
- 腟のゆるみを感じた時が腟ケアの開始のタイミングです。生活習慣に改善ポイントがないかしっかり見直してみましょう。
不安がある場合はクリニックなどで診察を受けてくださいね。
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クリニックに相談
「これって私だけ?」不安な人は専門医に話を聞いてもらいましょう。
あなたの味方になってくれますよ。
[コラム監修]
二宮典子 先生
NINOMIYA LADIES CLINIC 院長。
泌尿器科専門医・指導医。漢方専門医。女性泌尿器科医として、女性の排尿や生殖(セックス)にまつわる様々なトラブルの治療・サポートを行っている。