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FSDの症状
女性性機能障害(FSD)は現在、疾患として見なされ、精神医学で用いられている診断基準であるICD-10(国際疾病分類・精神および行動の障害/WHO)、DSM-IV(精神・神経障害の診断・統計マニュアル/アメリカ)で分類・定義されています。
女性性機能障害(FSD)は現在、疾患として見なされ、精神医学で用いられている診断基準であるICD-10(国際疾病分類・精神および行動の障害/WHO)、DSM-IV(精神・神経障害の診断・統計マニュアル/アメリカ)で分類・定義されています。
女性性機能障害のなかで主だったものは次の症状です。これらは現在、疾患として見なされ、精神医学で用いられている診断基準であるICD-10(国際疾病分類・精神および行動の障害/WHO)、DSM-IV(精神・神経障害の診断・統計マニュアル/アメリカ)で分類・定義されています。
セックスを嫌い、その行為をすることができない症状で、男性にも起こりますが、圧倒的に多いのが女性です。性欲もあり、マスターベーションも可能、しかしセックスは嫌で恐怖心をもっている状態です。具体的にはパートナーと腕を組んで歩くことはできても、密室で性的な雰囲気になることを恐れるのです。一見、仲の良いカップルが多いのも特徴です。結婚後、一度もセックスのない未完成婚のカップルもいます。
性を嫌悪する原因はさまざまですが、直接的には夫の不倫、夫のED、強姦の体験など。また、間接的には近親姦体験、反性的養育歴(セックスは汚いもの、と言われながら育った環境など)が考えられます。
性興奮障害は、男性の場合、主な症状はED(勃起障害)ですが、女性の場合は「膣潤滑不全」という形で現れる場合が多いようです。女性は性的欲求が高まれば、いわゆる「濡れてくる」のはよく知られていますが、小陰唇など性器が充血し、膨張してくる等の反応も起こります。性興奮障害は充血期における障害なので、血管の充血作用がないため、潤滑作用が起こらず(濡れない)、膣の拡張もなく、オーガズムも起こらない症状を指します。
オーガズム障害とは、「オーガズムがまったく起こらないか、または非常に遅れる。これは状況視定的で(すなわち、ある特定の状況の時にのみ起こり)、この場合は心因性と思われ、あるいは不変であったりするが、心理的処置に反応する場合以外は、身体的あるいは体質的な要因を簡単に除外することはできない。オーガズムの機能障害は男性よりも女性により一般的にみられる」、つまり、セックスをしても「いかない」「いけない」という障害です。前述した興奮障害と合わせ、日本では不感症と呼ばれることもあります。
一度もオーガズムになったことがない場合を原発性オーガズム障害、ある時期まであったのにオーガズムを感じなくなった場合を二次性オーガズム障害、マスターベーションではオーガズムになるが、パートナーとの性行為ではオーガズムにならないような場合を状況性オーガズム障害といいます。
女性の場合、性交だけでオルガスムに達する人は全体の20%程度。70%以上の女性はクリトリスへの刺激がないとオーガズムに達しないのです。また、“セックスにおおいに満足している”というカップルに、ある医療機関が行ったアンケート調査でも、毎回オーガズムを得る人は約半数しかいませんでした。つまり、性の満足度は必ずしもオーガズムを経験しなければならないというものではないようです。すべての感覚に個人差があるように、セックスの感覚にも個人差があることは当たり前だといえるでしょう。
オーガズム障害をもつ人にとって重要なのは、自分の性的感覚に没頭することです。まず、自分でオーガズムを楽に体験できるようにするため、マスターベーションが有効です。罪悪感を抱く人は、自分へのタッチングだと理解するようにします。クリトリスや小陰唇への刺激や時にバイブレーターを使って、オーガズムを得るようにします。
オーガズムは膣括約筋を含めた会陰筋および厚くなったオーガズム帯が0.8秒間隔で収縮するものです。オーガズムに至らない女性の多くは、刺激を受けている時に膣周辺の筋が弛緩しているといわれています。つまり、膣周辺の筋を収縮させればオーガズム反射の解放が促進されると考えられます。その方法としてケーゲル体操があります。膣周辺の筋肉を締め、数秒後に力を抜くことを繰り返す方法です。排尿時に排尿を止める要領で、10回を1セットとし、1日に数セット行うと、やがて会陰筋をリズミカルに収縮させたり、弛緩させたりできるようになります。
マスターベーションによるクリトリスの刺激でオーガズムが得られる人は、パートナーのいる場面でオルガスムに慣れるようにします。パートナーの前でクリトリスを自分で刺激し、オーガズムの寸前まできたら、クリトリスへの刺激をやめ、性交によってオーガズムを得る方法です。クリトリスの刺激と性交への橋渡し(bridge)と呼ばれるのはこのため。
性交痛障害には「膣痙」と「性交疼痛症」の2つの症状があります。
セックスの途中でペニスが抜けなくなり、救急車で運ばれたという話が面白おかしく語られ、膣痙をこの症状と勘違いしている人が多いのですが全く違います。ペニスを挿入しようとすると、膣が収縮してペニスをはじきだし、挿入できない症状を膣痙といいます。主に心理的な原因によりますが、まれに処女膜強靭症など、身体的な状態が原因となっている場合もあります。
性交疼痛症(性交中の痛み)は、痛くて痛くてセックスできない症状です。また膣痙や興奮障害における膣潤滑不全とは別の疾患と定義されています。
女性は膣潤滑不全でなくても、前戯が足りなかったり、乱暴に扱われると痛みを生じる場合が多いものです。しかし性交疼痛症の痛みはそうしたものに比べケタ外れに強く、具体的にはペニスはおろか、指の挿入もできない状態です。膣痙の軽い症状が性交疼痛症だともいわれています。
膣痙や性交疼痛症など、性交疼痛障害の女性は、自分の体に異物が入ることへの抵抗感が強いといわれます。男女の性に関する知識が誤っていたり、極端に不足している人が多いのが特徴です。